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2005年 01月 24日
子 + 月 ⇒ 育
前回に引き続き、「育」という字について、もう少し探検をしてみましょう。 「育」は、上下の二つのパーツに分かれています。上の部分は、「子」をさかさまにした形です。多くの漢字に使われていますので、知っておくと、「漢字」そのものの「意味」を推測できるかもしれません。 さかさまの「子」は、生まれたての赤ん坊です。その赤ちゃんに「月・にくづき」の「肉」をつけていくことを意味しています。 「育」は、赤ん坊の体が、段々と充実して成長することを指します。 充 「充」の字を見てください。いつものように、上下二つのパーツに分けますよ。 上の「子」の部分は、「育」の字の省略形で、「そだつ」という意味です。下の部分は「にじゅうあし」で、「人」を指します。 「充」は、子供の肉体がみっちりと肥えて成長し、一人前の人となることを示す「字」です。 皮がたるまず、肉が張り切ることから、「充実」という言葉ができ、さらに「充当」という語もうまれたのです。 子 + 凹 + 木 ⇒ 棄 「育」の「子」 ⇒ 「生まれたての子」から、思い出したことがあります。 例の「言わずもがな」では、扱えないほど、シビアなお話です。 「放棄」「棄権」という言葉の意味は、ご存知のとおりです。 「棄」には、「すてる」という意味があります。 古代中国では、歓迎されずに生まれてきた「子」がたくさんいました。 生活の苦しい農民に子供が授かって、せっかく生まれてきても「育てる」余裕がありません。 「棄」の字を、パーツに分けて見ていきましょう。一番上の「子」は、おわかりですね。生まれてきたばかりの赤ん坊です。真ん中の「凹」は、「くずかご」を意味します。下の「木」は、「くずかご」を置く「台木」です。 そうです、「口減らし」のために、親は、断腸の思いで、赤子の足を持ち、「逆さ」にして、「くずかご」に「すてる」のです。母親の悲鳴が聞こえてきそうです。 こんなに、悲しい「歴史」を背負った字です。心して使いたいですね。 私の住む町では、数日前に市議会議員の選挙が公示されました。選挙の時だけしか聞かない「候補者」の名前が、大音量で連呼されています。「うるさい」「こんなときだけ」とは思いますが、「棄」という漢字の意味を知った以上は、簡単に「棄権」するわけにはいきませんね。
by waki-san
| 2005-01-24 00:04
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